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自分なりに面白いと思えるものを見つけよう

博士課程在学時は、異分野の領域ではありましたが自分なりに面白いと思うことを探した結果、多くの実験手技の修得について勉強を始めた時期でもありました。誰でも研究者としてのスタートは「与えられた仕事」になるものだと思います。与えられた環境の中で、どれだけ自分なりに研究に取り組むことの楽しみを見いだせるか、また独自の発想のもと(例え突拍子なことであっても)自分なりの考えを持つことができるか、がとても重要だと思っています。また、これは学生にいつも言っていることですが、彼らが研究室に一歩入ったときから、学生としてではなく研究者の一人として扱います。研究者として、現象に対して自分なりの仮説を持ち、その仮説を自ら実験で検証していく、その過程を楽しんで欲しい。成果を出すことにも追われることとなりますから、実際には楽しいことばかりではありませんが、自分がその実験結果を見ることができる「世界で最初の研究者」になりえるのだという感動を持って取り組んでもらいたい、と思っています。

医者として、研究者として

元々、産婦人科を選んだ理由は色々とありましたが、当時は「診断から治療(特に手術で治療をしたいと考えていました)まで患者さまとずっと向き合うことができる」ということが一番の理由でした。それ故、現在取り組んでいる研究に関しても何らかの形で「診断から治療まで」の流れに少しでも貢献できるテーマを推進したいと思っています。これを実現するには、分子から個体に至るさまざまなレベルで、多方面からの詳細な解析を行い、それを統合的に理解することが必要だと感じています。例えば、ある病態モデルをマウスに再現したときに、ある臓器の特定の細胞における遺伝子の機能を詳細に解析することは重要ですが、その遺伝子変化が同一臓器内の他の細胞に、あるいは他臓器の細胞に働きかけることで、個体レベルでどのような表現型を示すのかを解明しなければ、「木を見て森を見ず」となってしまい、結局は病気の本質を見失ってしまい独りよがりな研究となってしまいます。これは研修医時代に先輩医師から言われた教訓である「医師は患者さまの検査データだけを見てそれを正常に戻すことをだけに囚われずに、患者さまの声を聞き観察をすることで病気の本質を捉え、最終的には苦しみを取り除き少しでも元の健康な状態に戻すことである」に似ていると思っています。

医学部がない早稲田大学において、医理工融合を目指す学科に籍を置いているのですから、将来学生に医科学領域で活躍することを期待して、自分が経験し感じてきたことを自分の言葉で伝え、また、実際の医療現場を見せる機会を提供できれば、と考えています。もっと密に、医療現場を見て、医者をはじめとする医療従事者や患者さまの話を聞き、学生一人一人が「何のために今の勉強をしているか」また、「より良い未来のために自分は何ができるのか」を明確にできるようになってほしい。「対岸の火事」ではなく、自ら現場に入り、考え、本当の意味で「医療のため・健康のため」の研究をするような理工学系の研究者が増えれば、今よりもはるかに有効な診断法や治療法の開発に繋がる可能性が拓けるのではないかと期待しているところです。

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東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設(通称:TWIns)
医理工融合を目指す教員が集結している東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設(通称:TWIns)。合田先生も普段こちらにいらっしゃいます。