キャンパスライフ

Student Interview

学部
永井 理香子 Morinaga Taiki

化学・生命化学科 学部4年

永井 理香子

大学の化学は「考える化学」だから、深くて面白い

化学・生命化学科の特徴から教えてください。

まず、研究分野が幅広いことです。基礎実験に加えて、専門実験科目が4つ(無機分析化学実験、生命化学実験、有機化学実験、物理化学実験)あります。高校の教科で言えば、物理・化学・生物の3科目を網羅しています。もうひとつは、生命系の学問を学べる点です。「生命化学実験」では、緑色蛍光タンパク質(GFP)*を入れた遺伝子を大腸菌に混ぜ、目的の細胞小器官を光らせる実験を行いました。このような実験は、一般的な化学科ではやらないと思います。

学問以外の点で、学科の特徴はありますか?

1学年の人数が約60名と少なく、皆、仲が良いところでしょうか。実験、課題、レポートが続き、大変な時期もありますが、皆で協力し合って取り組むので、自然と団結します。無理に友達を作ろうとしなくても大丈夫です。

化学・生命化学科を志望したきっかけは?

興味を持った直接のきっかけは、高校の頃、中尾洋一先生の研究を知ったことでした。中尾先生は海綿などの海洋生物が作り出す化合物を薬品や食品に応用しようとしています。高校の頃から化学が好きで、しかも、海や自然が大好きで、環境系にも興味があった私には、うってつけだと思いました。

反応有機化学が専門の柴田高範研究室に入った理由は?

実際に授業を受けるなかで、有機化学部門に興味が出てきました。実験も有機化学実験がいちばん面白かったです。
有機化学のなかで柴田研究室を選択したのは、学科のオリエンテーション合宿や教務補助で柴田研究室の先輩と仲良くなり、雰囲気が自分に合っているなと感じたからでした。柴田研究室では、触媒を活用し、不要なものを出すことなくほしい化合物だけを合成することなどを目指しています。そうした研究が直接的ではないものの、いずれ私の興味がある環境系につながるのではないかと考えたことも研究室の選択に影響しました。

新しく合成された化合物の物性を実験で調べる

柴田研究室では具体的にどのような研究に取り組んでいるのでしょうか。

遷移金属(周期表で示すと、中央あたりの第3族元素から第11族元素の間にある元素)を触媒とした化学反応を中心に研究しています。これら遷移金属と、炭素を含む有機化合物とが結びついた有機金属錯体を触媒とした化学反応も研究対象です。こうした化学反応の性質を調べる基礎研究や、新しい化学反応の開発などを目的としています。

現在、永井さんが取り組んでいる研究はどのようなものですか。

「シラヘリセン」という有機化合物の新規な骨格を新しい手法で合成しています。シラヘリセンは、ベンゼン環を代表とする芳香環がらせん状につながった化合物であるヘリセンに、ケイ素を導入したものです。柴田研究室で不斉合成されてから、それほど経過していない新しい化合物なので、どのような特性があるのか、まだ詳しくわかっていません。

実際の研究ではどのようなことをしているのでしょうか。

まだ研究室に配属されたばかりでわからないことだらけなのですが、研究室に入って驚いたのは、実験機器の豊富さと多様さでした。実験をたくさん行うので、実験好きの人にはうってつけです。あとは文献や論文を調べたり、ゼミで議論したりしています。文献や論文は英語ですから、英語を読む力は身につくはずです。

最後に、受験生にメッセージをお願いします。

高校では化学をほとんど座学で学ぶため、覚えることばかりで面白くないと思う人もいるかもしれません。しかし、大学では、分子レベルで構造的に学びます。たとえば、フェノールフタレインがなぜアルカリ性になるとピンクに変色するのかが構造的に理解できるのです。また、大学ではたくさん実験をして、実験をするたびに、結果に対してさまざまなことを考察します。どうしてこの反応はいかないのだろう、この反応の反応機構はどうなっているのだろうと考察するためには、考える力が必要です。また、有機化学では、化学反応に電子の動きが加わり、理論立てて反応機構を追っていく面白さや、どの反応条件が最適なのかをパズルのように組み合わせていく楽しさがあります。
このような「考える化学」はとても複雑で奥深いので、興味がある人はぜひ一緒に学びましょう!

緑色蛍光タンパク質(GFP)* 
下村脩ボストン大学名誉教授がオワンクラゲからの抽出に成功したタンパク質。のちに遺伝子に入れる技術が開発され、これにより、がん細胞などの動きを追うことができるようになる。2008年、下村名誉教授他2名にノーベル化学賞授与。