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写真 2010.11.22

先進理工学部、胡桃坂研究室が、ヒト精巣染色体の構造基盤を世界で初めて解明しました。

早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 電気・情報生命工学科

胡桃坂 仁志教授







先進理工学部の胡桃坂研究室は、精子形成に重要なヒト精巣染色体の構造基盤を世界で初めて解明することに成功しました。



すべての生物の遺伝情報は、ゲノムDNA として子孫に伝わります。ヒトをはじめとする有性生殖生物は、母親由来のゲノムDNA は卵に、父親由来のゲノムDNA は精子に収納されて、卵と精子が受精によって融合することにより、両親由来のゲノムDNAを持つ生物個体となります。これらのゲノムDNA は、染色体として細胞核内に収納されています。染色体の基盤構造はヌクレオソームという構造体で、4 種類のヒストンと呼ばれるタンパク質(H2A, H2B, H3, H4)が2 分子ずつからなるヒストン8 量体に、DNA がおよそ2 回巻き付いた円盤状の構造をしています。ところが精子の核では、通常の細胞と比較して、たった4%しかこのヌクレオソーム構造が維持されていないことが、近年明らかになってきました。精子を形成するための精巣では、ヒストンH3 のバリアントであるH3T が高度に発現しています。今回我々は、世界で初めてヒト由来のヒストンH3T を含むヌクレオソームを再構成し、その立体構造をX 線結晶構造解析法により原子分解能で解明することに成功しました。そして、ヒストンH3T を含むヌクレオソームが、通常のヒストンH3を含むヌクレオソームと比較して、著しく不安定であることを発見しました。この研究成果は男性不妊症の主な要因とされる精子形成不全の解明につながる可能性があり、生殖医療の発展にも寄与できるものと考えております。研究成果は「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に「Structural basis of instability of the nucleosome containing a testis-specific histone variant, human H3T」というタイトル論文にて発表しました。また、2010年5月24日に早稲田大学先端生命医科学センターにて記者発表を行い、日本経済新聞をはじめとする多数の新聞社が本研究に関する記事を掲載しました。







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